2009/10/16

「妖怪ファンド」は、町おこしを再定義する。

水木しげるロードで有名な「鳥取県 境港市」で「妖怪ファンド」なる事業が立ち上がるんだそうな。といっても「妖怪」が運営者したり、妖怪のよう な得体の知れない胡散臭いビジネスだったりするわけじゃない。

日経ビジネスオンラインの記事によると:

「妖怪ファンド」——。10月中にも、こんな名称のファンドが立ち上がる。目的は、鳥取県境港市の経済活性化。同市出身の水木しげる氏が生み出 した『ゲゲゲの鬼太郎』などの妖怪を、ビジネスに仕立てる資金を集める。

妖怪ビジネスの第1弾となるのが、来年2〜3月の発売を計画している「妖怪グッズ」の製作・販売だ。と言っても、Tシャツやコーヒーカップなど に主要キャラクターを描いたお土産グッズとは、ひと味違う。

「妖怪」が地方を救う: 日経ビジネスオンライン

こんな具合の至極まっとうな事業。

「妖怪」ビジネスへの投資を主眼としたファンドなので「妖怪ファンド」というわけ。実態は「境港市ファンド」であり、「中央政府」による分配に頼ら ず「地方」の事業に資金を調達するための仕組みだよね。

ここで思い出したのが羽田ハブ化の論点 - タケルンバ卿日記で:

とはいえ、これまでは地方の利益を代表するにはそれなりの理由付けもあった。それは国と地方の関係。国が圧倒的に強 く、地方は弱い。地方は自前の予算が少なく、補助金とかで事業をまかなうしかない。そして事業で交付されたお金は、他の用途に使うことはできない。となる と如何に補助金を中央から持ってくるかという話になるわけで、そこに中央に対する圧力として国会議員が必要だったわけですよ。ほっとくと予算つかないわけ で。地方からの圧力がなければ、地方にお金がこない。地方からのロビイストであったわけですな、地方選出の国会議員は。

羽田ハブ化の論点 - タケルンバ卿日記

このように指摘されていた「地方の弱さ」。

「地方ファンド」は「地方の弱さ」を補う仕組みなんじゃないか、という気がするんだ。

これからどのくらい時間が掛かるか分からない「地方分権」の強化を待たずして「地方」が自らを強化するための事業を起こすための資金を調達できる。 これは実は大きな「力」になるんじゃなかろうか。

事業主体はミュージック セキュリティーズという個人向けファンド運営会社だってコトで、民間による事業らしい。社長さんによると「1口3万〜5万円として、 3000万円ぐらいは集めたい」ってコトなので、規模は小さい。その代わり、広く薄く集め、小回りよく運用できそうな印象を受けた。

これから数年の間に、この事業がどのような経過を辿っていくかがとても楽しみだ。

まずは「境港市」で成功できるかどうか, それから次いで他の「地方」にも展開できるかどうか。もし、両方ともが成功したとしたら……

地方の経済活性化事業、いわゆる「町おこし」に「中央政府」は必要なくなってしまうかもしれない。少なくとも今まで「中央政府」の分配を待たなけれ ばならなかった「カネ」の部分は、もっとずっと小回りの利く、しかもムダのないカタチで調達できるようになるハズだ。

「妖怪ファンド」が「町おこし」を再定義してしまうかもしれないな、と思った次第なんである。

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