2010/11/14

IT環境をシンプルにする仕事はちっともシンプルじゃない。

例えば、全ての公務員端末を、可搬記録媒体(USB、DVD)に記録できない、完全なシンクラ イアント化し、データ全てをデータセンター内のサーバー、ス トレージに集約し、OSもTrusted化し、管理や運営はプロに任せ、ユーザーは、全くシステムの責任を持つ必要がない環境にしてしまう。 本当にシンプルですよね。そして、PC上にあるアプリケーションの殆どをオープンソース化し、コストを大幅(1000億円程度/年間)に削減 し、Cloud化によってサーバーを集約化し、PUE1.2以下のエコDCを活用して、環境性能を向上させ、全ての認証をシングル化し、目線 をサービス主体にし、多くの投資をそこに充てる。

誰が考えても分かりやすい事なんだけど、これが何故進まないのでしょうか?
あ らためて、もっともっとIT環境をシンプルに!! - 彰二郎のブログ2

言ってることはホントにシンプルで、例えば目の前のITインフラ/プラットフォームやその運用管理の改善に四苦八苦しているようなボクに だって分かるし、日頃おなじようなコトを言っている。

でも、それが進まない理由は決して「どこかに大きな力(組織力)が働いて」いるからなんかじゃなくて、ごくごく単純に業務からのアプローチ がないからだよ。見えない圧力なんて想定する必要もない。

サーバの標準化は、まだITインフラ/プラットフォームからのアプローチでも解決しうるかもしれない。でもそれですら、IT部門全体の「業 務」を否応なしに巻き込まずには進められない。

ITインフラ/プラットフォームの選定基準を策定・コミットし、それに従って新規開発を行う……そのよううに開発部門の業務を変える。既存 の業務システムをマイグレートするならば、そのための「業務」を新たに作る。もし既存の組織に、そのための「機能」や「役割」がないなら、新 しい組織を作らなくちゃいけないかもしれない。

まして組織の中の圧倒的大多数を占める「エンドユーザ」が使っているPC端末に関しては、もっと業務に深入りしていかないとどうにもならない。

シンクライアント化にしろ、オープンソースなアプリケーションへの移行にしろ、使い慣れた文房具を捨てて総取替えするのと同じコトなんだも の。おそらく、ほとんどの業務が現在の「パソコン」の環境を暗黙の前提としている中で、いきなり新しい文房具へ移行しろといっても上手くいか ないのはアタリマエじゃない? 不安もあるし、不安以上に実際の支障もある。

まず小さな組織単位から業務と、そのI/Oのつながりをモデル化し、文房具から切り離して可視化するんだ。

そこで初めて、文房具取り替えるための課題が見えてくる。課題がみえれば、それを解決するための方法論、ソリューションを組み立てることが できる。ソリューションが組み立てられば、プロセスとアウトプットにバラすことができて、そこまで行けば計画を作ることができる。計画を実行 してみれば過不足や誤りをが明らかになり、次の計画にフィードバックできる。

最初は途方もなく時間が掛かるかもしれない。でも、フィードバックを繰り返した「計画」はそれ自身が優れたモデルとなり、劇的にスタート アップをスピードアップしてくれる。

結局のところ「誰が考えても分かりやすい事」とタカをくくっているボクたちIT側のスタッフ自身が、それを妨げているのじゃないかしら?

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