アリアンロッド・リプレイからシステムを予測してみる
友達(──友達だよね?)のたかむら じゅりん氏が『アリアンロッド・リプレイ 銀の輪の封印』を読んでコメントしてたので、ボクも読んでみたんである。
ボク自身のコメントは後ろに回して、じゅりん氏のコメントから少し引用。
時間があったんで読んでみました。ええそりゃもうガッツリと一気に。
さすがリプレイマシーン菊池たけし。始めてのゲームでもいつも通りだ!
とまあ、私はリプレイ読んでると途中で挫折することが多かったんですけど、これは一気に読めました。内容がかなりライトだったんで。
ただし、これはTRPGのリプレイかというとなんだか疑問も残りますが。ただMMORPGのだらりバナシのような気もしまっす。
実はリプレイとしての印象はボクも概ね同意見である。
とゆーか、ここ最近リプレイを読むのは(自分が遊んだときの記録除いて)避けてたので、これ以上の感想は出てこないというのが正直なところでもある。(昔は随分と読んだんだけど嗜好が変ったのだ)
敢えて付け足すとすれば『確かにストレスなく読めるけど、駆け出しの冒険者がたった二回のセッションで世界を救うっていう展開は趣味じゃないかなぁ』というくらい。
この辺は菊池たけし氏の持ち味なんで文句があるなら最初から読むなって話。逆に気にならない人にとってはサクサク読める面白いリプレイだと思う。
兎も角も、リプレイそのものとしての出来・不出来についてはたいしたことを言えそうにない。それにボクとしては他のところが気になっていたりする。
アリアンロッドというのは、どんなゲームになるのか?
言い方を変えると『どんなセッションになるのか』,『どうやって遊ぶゲームなのか』という辺りが気になってるんである。
そんなわけでリプレイから得られた情報から推測してみたい。
とりあえず気になったのは以下の点。
- MMORPG風らしい
- PCの職業はメインクラスとサポートクラスの二つからなる
メイン,サポート両方とも同じクラスにしてもかまわない,またサポートクラスでのみ選択できるクラスもある - ギルド(このゲームにおけるパーティのこと)を結成するとパーティ全体に特典がある
- さらにギルドに経験点をつぎ込むことでギルド自体を成長させることもできる
- 行為判定は基本的に2D6+能力値
ただしスキル等により2d6が『nD6から任意の目を二つ選んで合計する』に変ることもある - 想定している遊び方は『ダンジョン・アタック』と『モンスター狩り』
- ハンドアウトやシーン制はないらしい
- ライフパスでゲーム的に『ちょっとした』特典がつくルールはあるらしい
- PC達の立ち位置は職業冒険者である
- ルールブックは文庫で発売される
1番目の『MMORPG風』というのは、クラスやらスキル,モンスターなどゲーム内の用語をMMORPGで一般的に使われる言葉に置き換えたりする『フレーバー的なアプローチ』と、ダンジョン・アタックとモンスター狩りをゲームの中心に据えた『シナリオ構造的なアプローチ』の大きく二つがありそうに思える。
この辺りは、ゲーム構造的に今までと比べて目新しいところはなく、おそらく『MMORPGに馴染んでいる層(特にTRPGもやってる/やってた層)』を取り込む戦略なんじゃないかと思う。勿論、これだけで取り込めるほど甘いものではないだろうけども。
『ナイトウィザード』で『萌え』要素を前面に押し出して大ヒットを飛ばした菊池氏らしいやり口だろう。(ボク個人としては趣味ではないけども、市場の状況を考えたらば販売戦略的に間違いなく正解だったと思う)
8番目の『ハンドアウトやシーン制がない』というのは、単純に想定しているセッションの形からして不要と判断されたためだろうと思う。
そもそも『ハンドアウト』にせよ『シーン制』にせよ『シナリオの物語的な要請』をスマートにPCへ渡すための手段である。
PC達の立ち位置が『職業冒険者』であり、想定される遊び方が『ダンジョンアタック』ないし『モンスター狩り』であるなら、物語に対して重点を置く必要はない。
10番目の『ルールブックは文庫』という点。
おそらく薄利多売を見込んでの選択か、単純に富士見ドラゴンブックのラインナップであるからか、或いはその両方が理由だろうと思う。(出版業界の事情には疎いので的を外しているかもしれないが)
とりあえず間違いなく断言できるのは検索性と読みやすさが落ちるだろうこと,何らかの形(量が減るか、読みやすさが著しく落ちるか)でデータが犠牲になるだろうことである。
『ダンジョン・アタック』にしても『モンスター狩り』にしても、やはりある程度のデータ量が期待されるところだし、それ以前にTRPGのルールブックとして検索性や読みやすさが落ちるのは問題がある。この辺りは減点と考えざるを得ない。
まぁ、この辺りはFEAR自体としても菊池たけし氏としてもボクよりもよっぽど分かってるハズなので何らかの工夫で改善してくるだろうとは思うけども。
ボクが特に注目しているのが3番目,4番目のギルドに関するものである。
実は似たような概念は『シャドウラン』の『チームカルマ』でも既に見られており、ぶっちゃけて言うと画期的なアイディアではない。
ただ次のような理由から面白いことになりそうだな、と思っている。
- 今のところ『今も遊べる国産ゲーム』で似たような仕組みを実装したものは見当たらない
- ともすれば『多人数ソロプレイ』になりがちなTRPGセッションへのブレイクスルーとしての可能性が感じられる
- PCへの感情移入とは別に、セッションへの感情移入を促し得る
- パーティの成長に伴って『できる事が少しずつ増えていく』実装は、シャドウランの『チームカルマ』と比べて洗練されている
おそらくシステム的に菊池たけし氏がやりたかったのは、この辺りではないだろうか。他の要素は、この仕組みを生かすための選択ないし販売戦略からの要請──そんな風に思うのである
もしそうだとしたら、実に手堅い。思わず唸ってしまうくらい手堅い設計なんである。
現時点でボクに推測できたのはここまで。
総合評価は『ギルドのシステムに期待』,『文庫での供給は減点』,『全体の作りは手堅いので失敗はなさそう』というくらいだろうか。
ガリガリ遊びたいゲームに仕上がるかは分からないけども、とりあえず買って遊んでみようかと思う。
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