本格魔術っぽいTRPGを考えてみる:まずはイメージから
或る日のことである。
TRPG.NET系のIRCサーバ(irc.cokage.ne.jp,irc.trpg.net,irc.cre.ne.jp)のチャンネル『#システムデザイン考』にて。
「本格魔術っぽいTRPGできないかなぁ」
とかそんな話をしてみた。
話が盛り上がってきたのはいいけれど、どこかにアンカーを置かないと話が拡散していきそうなので『ここでイメージしているところの魔術』と『実際に遊ぶ時のイメージ』を書き出してみる。
1. ここでイメージしているところの魔術
1). 概要で言うとこんな感じ
端的に言うと夢枕獏氏が『陰陽師』のシリーズで描いたような『力押しではない魔術的な遣り取り』をイメージしている。(余談だが最近出た『沙門空海 唐にて鬼と宴す』の呪術の攻防は素晴らしいんである。ハードカバーの分厚いヤツを四冊も掛けてるだけあって、スケールが非常に大きい)
なので。
ライトノベルでよく表現されている『簡単な手続き』による『表層的な分かり易い効果』,『スピーディーな攻防』に向いた魔術は対象外。
単純な魔力の強さを競うのではなく、基盤となる世界観とそのコトワリのもとに組み上げられた魔術を、じわりじわりとほどくように攻略していく攻防をイメージしたいんである。
2). 具体例で言うとこんな感じ
具体例として『呪殺の標的となった若者を守る陰陽師』というケースを想定してみると──
呪法により、失調していく若者を守るために陰陽師は結界を施す。
屋敷の戸と言う戸を全て締め切り──
四方の柱には呪符を貼り──
全身に有難いお経を全身に書き付け──
さらに念を押し、若者には「外から呼びかけられるハズだが、決して答えてはいけない」と言い含めた。
しかし、深夜。丑三つ時のこと。
呪法により家は揺れ、隙間風が吹き、生臭いにおいが立ち込める。
若者は段々と怯え──不安に震え。
そこで戸の向こうから声がする。
「もうし。もうし」
若者は歯の根が合わぬほどに震えながらも答えない。結界を張った陰陽師が言い含めた言葉を覚えていたからだ。
「もうし。もうし。清成殿──昼の陰陽師でございます」
声が言う。
しかし若者は答えない。
「実は梁に呪符を貼り忘れまして」
「なにっ」
ここで若者、とうとう答えてしまう。
「鬼が来る前にと、夜の朱雀大路を駆け抜けて参りました。疾く疾く戸を開けてくださいませ」
「お、おうっ。今すぐ──」
うろたえた若者、慌てて戸を開けてしまう。
しかし、戸を開けた先にあったのは一面の鬼の顔。にんまりと鬼は笑って一言。
「おぅ、開けおったな」
そしてがぶりと、頭を一口に──
──とまぁ、こんなイメージをしているのである。
2. 実際に遊ぶときのイメージ
この辺がクリアになればなるほどデザインの段階で楽になるのだけども。
まだ、この辺がイマイチ固まり切らなかったりする。
とりあえずの指針は──
- 魔術とは『世界』に対する『操作』の一手段であり、それを構成する『要素』とそれぞれを繋ぐ複数経路の『リンク』から『構造』的に形成されている
- 魔術は、その基盤として『固有の世界観』があり、魔術の『要素』や『構造』は、それに基づいて意味付けられ、位置付けられている
- 魔術を破る過程とは、その『構造』を見切り『要素』を排除・無効化したり、意味を反転させたりしながら『リンク』を辿っていく過程である
- 魔術を破る過程において『要素』に対する操作は必ずしも『霊的』な(或いは超常現象的な)ものではない
こんなところだろうか。
なんだか、そのまま素直に実装すると『ダンジョン』ものになりそうだけど──
まぁ、それはそれとして趣きあり、ということで。
それから実装の指針をもう一つ。
できれば、共通の仕組みで世界中の『魔術』を表現できるようにしたいのである。
前述の『世界観』に、おそらくぶら下がる形になるだろう『要素』だとか『構造』だとかがデータになるような気がするので。まぁ、その辺を増やすことで対応できる魔術を増やすような方向で。
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