2007/03/07

「引くことを覚えたら、一回り成長するよ」と言われた

 社員食堂でのこと。
 他部署ながらよくしてくれる役職者,入社以来おなじ仕事をしている先輩,ボクの三人でご飯を食べていて、こんな会話があったんである。

桜井:「ノー残業デーくらい帰らないとメリハリなくなっちゃいますよ」
先輩:「エンドユーザ部門からは、そんなもんこっちにゃないって言われたよ」
桜井:「それは相手方の都合であって、ボクらに押し付けられちゃたまらんって話じゃないですか」
先輩:「っつーか、オマエも納期遅れの依頼もいっぱいあるだろ。もっと働け」
桜井:「納期はどれもきちんと調整済みのものです。その言い方は失礼ですよ」
役職者:「依頼する側からすると納期ってのは最初のが納期で、調整ってのは『仕方ないから受け容れる』もんだけどねぇ」
先輩:「そういうこと。だから、最初の納期設定はきちんとやれって言われるだろ?」
桜井:「あるべき論としては分かります。けど、仕事が無制御に流れ込んでくる状況で、そんなの現実として通用しないですよ。こんだけ仕事が山積みになってたら、一つ一つ依頼の内容精査して調整して、納期設定なんてできます? そんなのやってる暇あったら、とりあえず手をつけろって話になりますよね? それじゃなきゃ間に合わないものいっぱいあるし」
先輩:「──」(ちょっとムっと来た様子)
桜井:「いや、現実としてだらだら納期延長が仕方なく受け容れられてるのも分かりますし、だらだら延ばすのがいいとも思わないですよ。でも、そういう理屈を通さないとボクらが保たないですよ」
先輩:「ごちそうさん」(食事が終わって席を立つ)
役職者:「──桜井の言い分も分からないじゃないけどねぇ。お前さんは、もうちょっと引くことを覚えたら一回り成長すると思うなぁ」
桜井:「────はい。いや、必要なのはわかるんですけど。だいたいやっちゃってから『あぁ、あの時は引くべきだった』って気づくんですよね。うん。確かにそこはボクの弱点です」(うーん、と考え込む)

 納期云々の話だとか、エンドユーザ部門との関わりとかについても色々議論があると思う。それはそれで大事なんだけど。今日は、どちらかというと最後辺りの引くことを覚えるってので深く考え込んでしまった次第なんである。
 上の会話のように、不器用でもなんでもとにかく仕事を一生懸命こなしていこうとする先輩を、小器用に仕事をこなしたい口の達者なボクが圧倒的な量の言葉で押さえ込んでしまうということがある。ままある。
 別に先輩のことを侮ったり、嫌っていたりするわけではないし、これがいいとは思わないのだけども。

 なんというか長年の付き合いと先輩の優しさ(これまた器用でないけど)に甘えてついつい言い過ぎてしまう。おまけに、自分が正しいと思えば主張せずにはいられない性格も手伝って、先輩以外に対してもしょっちゅう噛み付いて回ってるようなトコロがある。
 職場でのポジションを考えたら、もうそろそろ自分の正しさに自信満々でナマイキな小僧なんてわけにはいかなくなってきているわけで。
 その辺りを踏まえた、役職者の「引くことを覚えたら一回り成長すると思うな」という話なんだとボクは理解した。そも、このやんわりとした言い方自体が『引いた姿勢』のお手本になってて、効果的だ。

 そう、頭では分かってる。でも、それだけじゃダメなのだ。実行に移さなければ。
 でも気がつくと、すでに押しすぎていて引くタイミングを逸していたり、引くべきときを過ぎていたりして。こう、今のところ一言言う前に、ぐっと我慢するとかその程度の──小学生が教わるような程度のことしか思いつかない。しかも効果はほとんど出ていない。
 それで、うーんとますます考え込んでしまって。
 どうやら、しばらく宿題として抱えなくちゃいけない様子なんである。うーん。

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