2007/03/07

IBMとOracleが組むと実現するイノベーション?

 IBM/Oracle Technology & Solution Day 2007に行ってきたんであるからの続き。
 まずはA-2 マネジメント・ラウンドテーブル テーマ:「イノベーションの実現と最新経営基盤」で聞いたことと、その所感。
 ガートナー ジャパンの亦賀忠明氏をモデレータに、IBMとOracleからそれぞれ2名ずつ(コンサル系と技術畑から1名ずつという組み合わせに見えた)が参加してのパネルディスカッションである。
 モデレータからは、事前に以下の5つのテーマが提示されており、それに沿って進んでいくという流れだった。

  • なぜ今、IBMとOracleか?
  • イノベーションとは何か?
  • ユーザにとって何がよくなるか?
  • 本当にできるのか?
  • 今後の展開は?

 筋書き、というと言い過ぎかもしれないがIBMとOracleが組むとイノベーションが実現するぞ!というアピールに繋がる流れのように見えた。ただIBM, Oracleそれぞれの技術畑の二人の話は事例や実際の製品の話も交えてて、そこは面白かった。

 それぞれテーマごと、ボクなりに総括すると次の通り。

なぜ今、IBMとOracleか?

 "なぜ今"という部分への答えはなかったように思えるけども、"なぜIBMとOracleか?"という点に対しては、みな異口同音に「IBMとOracleが組むことでイノベーションが起こせる」と言ってるように聞こえた。まぁ、このあたりは規定路線ってところだろう。

イノベーションとは何か?

 この問いかけに対しては、それぞれ主張が違っていて面白かったり、的外れだったりという感じ。それぞれの主張を列挙すると次の通り。

  • 新しいビジネスモデルを支える技術革新 (IBM 中山裕之氏)
  • ソリューションカンパニーとして、ユーザ企業をいかにそこへ導いていくかの課題 (Oracle 三露正樹氏)
  • イノベーションが新しいテクノロジーを生み、そのテクノロジーが次のイノベーションを生む (Oracle 三澤智光氏)
  • IBMとOracleの協働で生まれるイノベーションという意味で言えば、Application-Optimized System──つまり、アプリケーションに対して最適化したシステム製品のコンセプトであり、新しい技術をビジネスに対して即効性のあるものにする (IBM 久世和資氏)

 最後の総括の段になって、モデレータの亦賀忠明氏が「生き残るために絶えず続けていかなければならないこと」なんてまとめていて、まぁ、それは確かに間違ってないのだけども。
 ボクとしてはOracleの三澤智光氏の主張なんかキャッチフレーズ風で面白い気はするし、IBM久世和資氏の持ち出してきた事例なんかは実に具体的で好ましいように思えたんである。(どちらも問いかけに対して正面から答えるってよりも、思いのたけをぶつけたという風で、またそれがイイと思うんである)

ユーザにとって何がよくなるか?

 Oracleがラインナップする幅広いエンタープライズ向けアプリケーションとミドルウェア,IBMがラインナップするソリューションとハードウェア,ミドルウェアを組み合わせることで、イノベーションを実現し、それをより現実的な形でエンドユーザへ提供できる──という主張を感じた。
 平たく言えば、タッグを組んで強い部分を組み合わせれば他社には負けないぜ、ってところだろう。

本当にできるのか?

 これは、どの参加者もともに異口同音にすでに現在進行形であるという主張だった。(まぁ、こういう席上で「こんな問題があって──」なんて言う人はなかなかいないだろうけど)
 ただ面白かったのは、Oracleの三澤智光の説明は技術畑の人らしく熱っぽく具体的な事例を語ってくれたこと。楽天トラベルのサーバのスケールアップを2002年から昨年まで継続的に行ってきたというもので、次のような遷移だったという。

  • 2002年、16CPUのIBMサーバ2台でActive Stanby
  • 2004年、8CPUのサーバを1台追加するとともに、既存の16CPUサーバ2台をIBMのパーティションニング技術を投入することにより8CPUの仮想サーバ4台とし、Oracle RACを適用することで性能を最大化するとともに可用性の大幅向上に成功。
    (端的に言うと、5台の8CPUサーバで、クラスタデータベースを構築したってことになる)
  • 2006年、Oracle 10g RACを投入し、サーバ4台(合計56CPU),仮想7サーバ上にグリッドデータベースを構築し、新規のアプリケーションを1つ追加投入

 ほとほと興味のない人には何が凄いんだか(あるいは凄くないのか)が分からない事例だけども。
 グリッド・コンピューティングと仮想サーバ技術の組み合わせが、これほど大規模かつミッションクリティカルな分野で実用されており、しかも比較的短期間で構築されているという事例としては、なかなか派手だったんじゃないかと思う。
 ただ今の課題は低コストで迅速に、広く顧客にデリバリするための専門のコンサルティング部隊を育てるコトなんだそうで、やはりまだ広く普及するまでには時間が掛かりそうであるようだ。

今後の展開?

 これは、今後も連携を強化してビジネスに対するイノベーションを起こしていく的な、当たり障りないまとめだった。ただ、IBMの久世氏が「Oracle Boxを作りたいですね」なんて言ってたのは、やや口が滑った感があって面白かったかな?

 要するに、IBMのハードウェアをOracleの製品にOptimize(最適化)し、ライセンスとセットでパッケージ,設置すればすぐにOracle製品が使えますってなものなんだろうけども。ここ数年で相当に幅を広げてきたOracleの製品群を組み合わせて使おうってなったときに、どのくらい楽に素早く稼動開始できるか,しかも専門のエンジニアが設計するよりも高性能/低コストで──って辺りを想像すると、ちょっと期待なんである。(あんまりAIXは触りたくないんで、Linuxベースでお願いしたいところだけど)

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