アメリカ政府は、コンピュータシステムを本格的にクラウド調達する活動を始めたというニュース。
クラウド調達ってのは、
クラウドコンピューティングを前提とした
考え方で、
コンピュータシステムを調達するのではなく発電所から電力を買う
ようにコンピュータシステムを利用するやり方。キーワードは「
所有せず利用する」である。
電化製品使うのに発電所を自分で「所有」する必要なんかない(でも、最初の頃はそうだったんだよ)のと同じように、コンピュータシステムも自分達で設備を持たずに利用できるよね、という発想の転換である。発電所の場合には「電力網」の整備が前提だったけど、コンピュータの場合には「インターネット」の整備がそれにあたる。
そうしたロジックを踏まえて、記事の後半では政府の「霞が関クラウド」(参考: 「霞が関・自治体クラウド」に約200億円の補正予算、実現の可能性は? )の進め方に対して、疑問を投げかけている。"自前でクラウドを構築する議論が先行している"のはおかしい, クラウド調達のキーワードは「所有せずに利用する」だよね, 民間にクラウドを構築させる方がコスト削減効果は高いよね、って。
海外のクラウドベンダに、政府や官公庁の非公開情報を預けてもいい, たとえば仮に相手国との関係が緊張状態(あるいはそれ以上)になっても大丈夫だ、って前提をおくならその通りだと思う。
でも、現実はそうはいかないよね。アメリカの場合には国内にクラウドのスタープレイヤー各社を擁しているから、自国内で安心してクラウド調達ができる。でも、日本では「まだまだ」だ。ボクがお付き合いのある企業さん何社かでも、クチを揃えて「まだまだですね」と仰る。その中には米国でも積極的にクラウドを展開しつつある某社の日本法人も混じっている。
そういう現実を素直に認めれば、とりあえずまずは政府自身が「クラウドプラットフォーム」を構築するのもアリなんじゃなかろうか。先行事例として, また国内のベンダを育てるための実験台として。そこで得られた知見が、民間企業に流れて「本当」のクラウドを作るのに役立てばいい。
それに、たとえ出来上がったものが大規模な「サーバ統合」と「SOA」に過ぎないものであったとしても、それはそれで十分に意味があると思うんだ。それを全ての官公庁が利用するとしたら、それだけでも大きなコスト削減になるだろうから。
内容:
"オバマ政権がクラウド調達によるコスト削減策を開始、日本は「霞が関クラウド」のままでいいのか?"
- オバマ政権がクラウド調達によるコスト削減策を開始、日本は「霞が関クラウド」のままでいいのか? - Publickey (Google サイドウィキで表示)