「ニュースを消費する≒ソーシャルな活動に使う」だとしたら、ニュースの「コンテナ」もそれにふさわしい工夫がいるのじゃないかしら。 #media #news
「あなたはな ぜ、ニュースを読むのですか?」 - シロクマ日報最近も日経新聞が有料オンライン版をスタートするというニュースがあったように、古いメディアの下でニュースを配信してきた企業が、ネット時代 に合わせてその姿を変えようとしています。そこで重要になるのが「なぜ人々はニュースを欲するのか」という点。この問いに的確に答えることができなけれ ば、コ ンテンツへの課金はおろか、集客すらおぼつかないニュースサイトが出来上がってしまうでしょう。
「そんなの愚問だ。人々がニュースを得ようとするのは、欲しい情報があるからに決まってるじゃないか」——僕もその答えに100%同意するので すが、そう言い切ってしまう前にこちらの調査結果 に目を通すことをおすすめします:
「なぜニュースを欲するのか?」という問いかけに対して「欲しい情報があるから」という回答では掘り下げが甘くて「その情報をなんのために、どう やって使うのか?」という視点で掘り下げて, そこから「どのような情報(コンテンツとコンテナ)が欲しいのか?」を浮き彫りにしなくちゃいけないんだよね。
そんなわけで引用したも記事では「Understanding the Participatory News Consumer (Pew Internet & American Life Project)」という記事を引いて「なんのために、どうやって使うのか?」を米国で調査した結果を紹介してくれている。和訳してくれた部分だけ引く と:
- 「ニュース消費者」グループの72%が、ニュースを消費する理由の1つとして、それについて家族や友人、同僚たちと語り合うのを楽し むためと回答した
- このグループの69%が、情報に接していることを社会的義務と感じていると回答した
- このグループの61%が、ニュースの中で生活に役立つ情報がしばしば見つかると回答した
- このグルー プの44%が、ニュースがくつろげる娯楽や個人的な楽しみを提供してくれると回答した
- このグループの19%が、仕事上ニュースに接している必要があると回答した
というわけで、アメリカでは7割以上の人にとって、ニュースを消費するコトはソーシャルな活動と近似らしい。(余談だけど、7割近くの人が「社会的 義務」として情報に接しているって回答をしたことにはちょっと驚かされた。確かにそうなのかもしれない、とは思うけど日本で同じことを聞いて、そう答える 人はどのくらいいるかしら?)
従ってニュースは、多くの人の興味を引けるようなもの、つまりターゲットとするコミュニティにおいて:
- 多くの関心が集まる重大事項の事実と分析(解説)
- 人に教えたくなる(あるいは知ってると、ちょっと鼻が高い)新奇あるいはトリビアルなもの
- 話のつなぎに最適な面白おかしい話
このような「情報」が望まれている。
……と「コンテンツ」の部分だけ見て結論するのは片手落ちだと思う。そもそも、そのあたりはすでにマスメディア側で十分に分かってて、日々「生 産」, 「出荷」されている情報の大半は、これに当てはまってるよね。
むしろ重要なのは「コンテナ」の方で「ニュースの消費≒ソーシャルな活動」であるならば、それをもっと消費させるためには、ソーシャルな活動に使い 易い「コンテナ」に載せて出荷しなくちゃいけない、ってコトだよね。このあたりの工夫は、今まであまりされてこなかったのじゃないかしら?
ボクはWebにどっぷりの人なので、とっさに思いつくのはやっぱりtwitterやblog, ソーシャルブックマークなどのWeb上での活動で使い易いようにする方向になる。(正直な話、「ね、コンテンツ課金したりblog等々への引用を禁じたり しても消費者のニーズには合わないでしょ?」と最初に思った感想はこれだったし)
けど、Webをいったん横に置いても、まだまだ工夫の余地はあるよね。例えば:
- ニュースのパッケージを物理的に小さくする
(新聞紙って嵩張るから持ち歩くにも荷物だし、読むにも場所を選ぶよね?)
- 欲しい記事だけを簡単にクリップできるようにする
(欲しい情報だけ手帳にはさんだりポケットに突っ込んだりで、話をするときにぱっと取り出せたら良くない?)
- 記事を配信する単位をもっと小さく、そのかわり頻繁にする
(常に新しい情報を補給しないと話が続かない!) - 辞書形式にする
(分からないコトバとかいっぱいあると話についてけないし!)
……素人のボクが思いつくだけでも、パパっとこのくらい思いつくことだし。当然、マスメディアの側でも研究してないわけがないよね?
さてはて、マスメディアのヒトたちは、どういう仕掛けをしてくるのかしら。