2007/02/23

ヒューマン 2.0 web新時代の働き方(かもしれない)

 On Off and BeyondというBlogでシリコンバレーでの生活をつづる渡辺千賀さんが上梓した新書──なんて書き始めをすると昔からこのBlogを読んでいた読者だったみたいだけども。
 実は以前にどこかのBlogで紹介されていたのを覚えていて、購入してみたというのが正直なところ。(ただ、誰のBlogだったかは情けないことに覚えていない)
 ただ、それ以前から梅田望夫氏のMy Life Between Silicon Valley and Japanaや、江島健太郎氏のKenn's Clairvoyanceなどでも、何度か名前が出ていたため存在は知っていないでもなかった。その認識の仕方は、なにやらシリコンバレーに住む日本人社会での人気者らしい、ってところ。彼女の名前が記事に出るときは、おおむね好意的な視点で魅力的な人物として書かれていたから。

 それで、肝心な本の内容だけども『1 はじめに』に書かれている文章を引用すると──

 さて、本書はいくつかの読み方がある。

  1. 異国の地で起こる変わった人たちのオトギバナシとして読む
  2. 日本での働き方・生き方の参考にする
  3. モノは試しでシリコンバレーで働いてみるための参考にする

 私としては、是非3の人が増えるといいなぁと思っている。

ヒューマン2.0 web新時代の働き方(かもしれない) 1 はじめにより引用

 ボクの読んで受けた印象では『日本での働き方・生き方の参考』にするには、ちょっと社会インフラそのものが違いすぎて全面的に受け容れるって形は難しいのかな、という感じ。
 ただ、もちろん部分部分では参考になる話もいろいろある。ネットワーク(人間の)の話とかは、これから日本でも重要になってくるだろうなぁ──とか。

 それ以外の、オトギバナシとしての側面,モノは試しの参考としての側面も、なかなか面白かった。なにが面白いって、就職というものに対する環境とパラダイムの違いが大きすぎて。
 もしかしたら、これは今このタイミングでは彼女しか書けなかったテーマかもしれない。特にボクみたいに、さほど頭の回転が鋭くない落ちこぼれビジネスマンにもリーチするように書くのは難しいだろうと思う。

 なにしろギャップが大きすぎるのである。
 大きすぎるから、その大きい部分だけ取り上げたって一冊書ける。でも、それじゃアリガチな紹介本になって面白くもない。
 本書が面白いのは、実際に中に飛び込んで生活した人でないと分からない機微ってものが上手に拾い上げられているところ。それも、キラキラと好奇心に輝いた視点を保ってなければ見逃してしまうような、でもそれだけにツボをついてくるエピソードがちりばめられて、全体として"大きなギャップ"を描き出しているのである。

 前に紹介した若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来で、日本の就業環境に絶望した人も、しなかった人も。それから、シリコンバレーってどんなトコロ? って興味を大小問わず持っている人にも。
 オススメの一冊なんである。
 きっと読み終わったときに、肩の凝りが少しほぐれてるんじゃないかと思う。

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