相手の顔色を察するのと伺うのは違うってコト ──或いは中堅若手会社員から若手社員へのエール
一昨晩のチャットでのこと。
あまりに言い方が上手くなくて真意が伝えられないコトがあった。
発端は、若手会社員のBanyu11thくんが役員と上司,先輩二人に突然カラオケに誘われ、特撮縛りと言われて選曲に真剣に悩んだという話。それを聞いて『あれれ?』と思うところがあり、お節介ながら一言、二言いってしまった結果、雰囲気がピリピリしてしまったという情けない顛末である。
結局は回りのオトナな人たちが上手く話をそらしてくれたのだけども。
ただ、やっぱり真意を上手く伝えられなかったのは悲しいので半ば私信ぎみに、それからもしかしたら他の若手社員へのエールになることを期待してblogの記事として。
[Kannna] そら、おこられるでしょ<特撮がリクエストなら
[Banyu11th] かんなさんは、どうも分かっておられないw
[Kannna] にゃにが?
[Banyu11th] 新卒新入社員が、突然執行役員にカラオケに行こう、と言われて、「じゃあ、特撮縛りだから」
[Banyu11th] と言われた時の、気持ちw
(中略)
[Banyu11th] まあ、それがどの程度人事に影響するかはわかりませんが
[Banyu11th] 喜ばせておいて、損はないわけです。
[Catshop] まぁ「空気読めない」ってのもキャラ立ちではあるし。(それでホントに空気読まない振る舞いをすると色々複雑になってくるけど)
[Banyu11th] 逆に言うと、ほんの数時間うまく立ち回って、いい印象を与えれば、そういう目で見られる、というのもあるしね。
[Banyu11th] まあ、結局は如何に騙すか、なんですが。
#もの書き 20070303の公開ログの00:40分頃の発言から引用
ちょっと長くなったけれど、そのときのチャットログからの引用である。できたら、話の流れを掴む意味でリンク先の方も一読して頂きたい。
引用した部分を見て『もしかしてBanyu11thくん、相手が偉い人だから顔色を伺ったのかな?』と思ったのだ。そして、それは若手社員としてはヨクナイ傾向だとも。
彼からすれば「なにを偉そうに」というハナシで、愉快ではなかっただろうけれど。
確かに相手の顔色を察しておくことはビジネスでも大事なことだ。
人間は感情の生き物であるのは一面で真実だから、感情の動き一つで容易く判断を鈍らせ、誤らせる。
でも、公私のうち私の場面において、カラオケの選曲一つまで敏感に相手の顔色を伺うようだとしたら──残念ながら、それは行き過ぎだ。まして『相手が偉いから』なんて理由ならなおさら。
彼は「気にいられること」だけで世の中を乗り切ろう、とかそういうことじゃない
とは言ったし、きっとそれは誤魔化しや偽りではないと思う。
でも、それでも行き過ぎていることには変わりはない。
私の場面においてまで偉い人の顔色を伺うような習慣が身につけば、公の場面でもそうなる。そうなれば『偉い人』の言うことに逆らえない。
残念ながら『偉い人』だって間違った判断を下すことはある。君は、きっと沢山の『偉い人の間違い』と向き合っていかなくちゃいけない。
そのとき、必要なのは相手の顔色を伺うことではないのだ。
堂々と「その判断は間違っています」と言うこと。
偉い人の顔色を伺う習慣が身についた社会人には決してできない。そういう実例を、ボクは幾つもどころか毎日のように見続けている。
大げさな話を持ち出せばマスコミを賑わす企業の不正やスキャンダルも、それが積み重なった結果としてある。
オレは上手くやるさ──と、もしかしたら君は言うかもしれない。きっと、その自信を支える実績もあることだろう。
でも、請け負ってもいい。君は絶対に上手くやれない。
君自身に染み込んだ習慣と、それから周囲の圧力がそれをさせない。相手も無意識かつ自然に、君が自分の顔色を伺うことを期待している。
だから、ボクは君に言いたかった。偉い人の顔色を伺うのは止めなさい、と。
Banyu11thくんは「同じやるなら、好かれた方が良い」と思ってる
と言った。それは否定しない。その方が気持ちよく付き合えるものだし、仕事もやりやすい。
でも顔色を伺うことなんかで人に好かれたりはしない。単に侮りを生むだけだ。
だから、そんなことは止めなさい。
本当に人に好かれたいなら、次のことだけ心がければいい。
- 誠実であること
- 率直であること
- ひたむきであること
- 回りをよく見ること
- 相手の人格を否定したり軽んじたりしないこと
実はこれを貫くのは本当に疲れることだ。時には衝突することもある。
でも、それは必要なコトだ。
逃げるくらいなら、きちんと衝突した方がいい。
衝突の結果、一時的に気まずくなったとしても、相手には君のひたむきさや誠実さ,率直さが必ず残る。それは顔色を伺って気持ちよくしてもらったコトよりも、ずっとずっと相手の心に届く。
もう一度、しつこいけれど繰り返す。
偉い人の顔色を伺うのは、やめなさい。
それは君から、誠実さを奪い、率直さを奪い、ひたむきさを奪ってしまうから。
追記
もしエンターテイナーとして、カラオケの選曲に悩むなら、それはボクも大いに共感する。それはエンターテイナーの性であり心意気ってもんだもんね。
追記その2
アップロード前に読み返して、我ながら青臭いオジサンになってしまったなぁ、と思ってしまった。居酒屋でほろ酔いのオジサンにつかまったとでも思って、ご容赦いただければ幸いである。
2 コメント:
それは違うんじゃないかなぁ、とちょっと思う。
顔色を伺うということが、100%悪いことだとは思わないですよ。
印象を良くしたい、と思うなら、当然相手の期待に応えるでしょう?
気になる女の子が喜ぶのなら、どんな歯の浮くセリフでも、さらりと言ってしまえるでしょう?(あ、これは人によるか)
でもね、必死に悩むくらいなら、素直に「特撮なんて持ちネタにありませんよー。縛りはきついです。アニソン可ですか?」とか言ったらいい、とはあたしも思う。
顔色をうかがうのではなくて、呼吸を読むということが大事なのではないかな、と思うですよ。
上司を前に「俺はこういう人間なんで」と突っぱねるのは、やっぱり社会人として考え物だと思います。
最近は、全部そういうのを「個性」で片付けようとするけれど、相手を敬い、自分を抑えることも礼儀として必要じゃないかな、と。
へへー、びっくりしたでしょ。意外に古風な意見で。
媚びる、ってもっと直裁に言った方が言いたいことが伝わったかも。なんて、今さら思ったりして。
> 顔色をうかがうのではなくて、呼吸を読むということが大事なのではないかな、と思うですよ。
この表現、実にしっくりきます。そう"呼吸を読む"っては大事です。ボクも大事にしたい。実に難しいコトではありますけれど。
ただですね。
> 上司を前に「俺はこういう人間なんで」と突っぱねるのは、やっぱり社会人として考え物だと思います。
これは違うと思うのでアリマス。
"突っぱねるのが良くない"というなら、それはきっと上司に対してだけじゃない。誰に対してもそうであるべきなんだと思います。
そして、本当に必要なら相手が誰であろうと"突っぱねるべきとき"は突っぱねるべきなんだと思います。(カラオケの選曲がそうだ、ってわけじゃないですよ?(笑))
これまた"呼吸を読む"のと同じくらい難しいんですけどね。しみじみ実感こもっちゃいますけど(笑)。
とゆーわけで。
> へへー、びっくりしたでしょ。意外に古風な意見で。
実はボクの方が古風なのかもしれません、と思ったりしました。イマドキこんなコト、真顔で言うヒトいないですよね。わはは。
追記.
> 気になる女の子が喜ぶのなら、どんな歯の浮くセリフでも、さらりと言ってしまえるでしょう?(あ、これは人によるか)
まったくもって、ボクみたいに初心な照れ屋には実に難しいコトであります(笑)。
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